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出会い系サイトで知り合った上品な女性との初デート

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その喫茶店は、アーケード商店街のほぼ真ん中にありました。普通の二階家の一階をそれらしく仕立てただけの店で、入口の脇には埃を被ったショーケースがあり、ハンバーグやスパゲティの蝋細工が並んでいました。
ドアには安物の鈴がついていて、私が引き戸を開けると鈍い音を立てました。
午後の中途半端な時間ということもあったのか、五、六人が腰かければ一杯になってしまうカウンターとテーブルが三つばかり並んだ店内に、客は彼女だけでした。
「初めまして。○○です。待ちましたか」
「いいえ。私も今、着いたところです。こんな田舎町までわざわざ来て頂いて・・」

約二か月前、彼女とは出会い系サイトで知り合いました。
大きな仕事が一区切りついて、急に女性の柔肌が恋しくなって、ついついこのサイトにアクセスしてしまったのです。サイトを上下にスクロールしながら、好みの女性を探して、手当たり次第にメッセージを送り続け、ようやく返信してくれた女性が彼女だったのです。決して私のストライクゾーンの女性ではなかったものの、メッセージを送信すればすぐさま返信してくれる優しさに、いつの間にか引き込まれてしまったのです。

S市の中心街から、高速道路を使って約二時間かかる場所にM市はありました。一昔前までは鉄鋼の街として栄えていましたが、主要産業が斜陽化すると急速に人口が減り始め、今ではあちこに空き家が目立つ寂れた街になってしまっています。

彼女に教わった通りに、街の中心街であったろうアーケード商店街に到着した私は砂利の敷き詰められた駐車場に車を停めて、通り全体が薄暗く沈んで見える、シャッターの下りた店の多い、商店街に足を踏み入れてみました。人通りはまったくない中で、おそらく有線放送らしい六十年代の歌謡曲が流れていました。佇まいからして、シャッターの下りたほとんとの店は、閉店してからかなりの時間が経っているように思えました。

「寂しい所ですですね」
「ええ。これでも昔は、賑わっていたんですよ」
三十代後半の彼女は、サイト上の写真よりも綺麗に見えました。富士額に切れ長の目と高く尖った鼻に薄い唇は、こんな田舎町にはもったいないほど上品で優雅に見えました。
「近くに○○岬があるので、行ってみませんか」
彼女の誘いに応じて、飲みかけの珈琲を半分以上残したまま、喫茶店を後にしました。

商店街から車で五分の場所に、岬はありました。
緩やかな丸みを持った水平線が、大海原と蒼穹を隔てています。岸壁を吹きあげてくる潮風に揺れる黒髪が綺麗で、思わず彼女を抱きしめていました。
「どこか休める場所に移動しませんか」
伏し目がちにコクリと頷いた彼女の手を引き、アスファルトの駐車場に停めていた車に戻りました。

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